コラム “be mellow” vol3.

コラム

抱っこしてる?

「抱っこしてる?」
お子さんが大学生になり、ほぼ子育て終了とも言える友人が私に言った。
「何よりも大切なのは、抱っこ。ご飯作ったり、家を綺麗にしたり、清潔な衣服を着せるのも大切だけど、それよりも根っこにあるのが抱っこなのよ」

多分、私が長男の食事に関して話をしていた時だと思う。彼女のアドバイスは、子どもが「いらない」というまで抱きしめてあげること。それは、心の栄養になるのだという。
ずっと体を育てるのは日々の食事だから、手を抜けないと思っていた。でも、母親がそれにかかりきりになっていて、スキンシップの余裕がなくなってしまったらどうだろう。どれだけ完璧な“母親業”なるものをこなしていても、笑顔で膝の上に乗せてくれる優しさがなければどうだろう。

優しい彼女はそうは言わなかったけれど、色々と考えすぎていた私の心にジーンとその言葉は沁みた。以来、ずっと長男が私の背丈を超えるくらいになっても、反抗期の長女に爪を立てられても、お気に入りのセーターがチビの涙でグショグショになっても、朝に晩に抱っこするのが習慣になっている。

「おかーさん、抱っこ」と言われて、「今日は疲れたし、無理!」と思ったら、きっとそれは余裕がなくなっているというサイン。家事をすぐさま放り出して外食をしよう、というバロメーターにもなっている。

そんな疲れた日でも、家から一歩出てみると、どうだろう。子ども達の笑顔に釣られている私がそこにいる。早々に食べ終わって、膝の上に乗ってくるチビの体の温かさに心が癒されている。
今からどれだけの抱っこをできるかは分からないけれど、子どもが自分の世界に歩み出して、振り返らずに羽ばたいていくまで、この習慣を続けていこうと思う。終わってしまう時のことを考えると寂しいけれど、ね。

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