コラム”be mellow” vol.7

コラム

私らしく生きる? フリーライターが再び“勤め人”になった訳(2)

前回、就活を始めたときの思いを書いたが、その当時、子供たちは14歳、10歳、7歳。私は45歳の終盤を迎え、気付けば色んな採用情報で年齢制限に引っかかっているという当たり前の事実に、今更ながらハタと気付いたのだった。
以前は、正社員で業界紙の記者、派遣社員として出版社、メーカーの広報室で働いてきた。それ以降も仕事を辞めたことはないし、フリーライターとして活動していたわけだが、その期間は「ブランク」に相当するらしい。
以前の経歴を多少は生かして仕事ができるかなと、ウェブ関係の制作会社や大学の広報室などを当たってみたけれど、面接までは行くも全て不採用。すぐに見つかるだろうと思っていた仕事探しは難航した。以前お世話になっていた派遣会社に相談に行くと、「オーバースキルですかねぇ」と言われる。
要は、英語が喋れる、文章が書ける、これこれこういうソフトは使えると私がアピールすればするほど、仕事が見つからないという状況らしい。40を過ぎているという年齢も「使いにくい」と敬遠されているのだろうと思った。決して皆、正直に口は割らないけれども、私が採用する立場だったら、きっとそう感じていたかもしれない。

女性活躍とかなんとか言って、女性の社会復帰、正社員雇用を促すように派遣法を改正したりしたけれど、それがマイナス方向に働いているのかもしれない。要は、自分一人で仕事を回してしまえるような人材よりも、ローテーションの仕事を行い、期限が来れば他の人と交代するという交換可能な、何よりも安い人材が重宝されているという日本社会の苦しい事情がなんとなく見えてきた。
なぁるへそ。安倍さんはあんなこと言ってるけど、企業側からしたら「勝手なことばっかり言うなー。お前が金払うんかいっ」ということなのだろう。
私からしてみれば、せっかく泳ごうと決意してプールサイドに立ってみたら、水がなかった、という状況に等しい。むむ……。水を得た魚のように泳ぐつもりが、もはや中年の魚は必要とされていないらしい。決してプライドが高いわけでも、高い給料を求めているわけでもないし、むしろなんでも喜んでやろうと思っているのに。途方にくれていたら、友人から連絡があった。バイリンガルの事務を探しているところがあるという。そして私の仕事探しは唐突に終わりを迎えた。
でも、1年間働いてみて、色んなことを学んで考えさせることも多々あった。新たな決意もできた。それについては次回語ることにしよう。

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