コラム”be mellow” vol.6

un categorized

私らしく生きる? フリーライターが再び“勤め人”になった訳(1)

45歳になって、また履歴書を書くなんて思いもよらなかった。
折しも世間は、“起業ブーム”でスキルのある主婦たちが起業・創業するのを後押しする風潮にある。そんな時に、世の中の流れに逆行するかのように個人事業主を辞めて、組織に属しようとするのだから、不思議に思われても仕方がない。あの人、よほどお金に困っているのかしら、と後ろ指を指されても仕方がない話である。
実際、収入は安定していなかった。ライターなんて資格もスキルを測る尺度もない商売だから、人とのつながりと実績が全てと言ってもいい。ひとつの仕事を確実にいいものに仕上がれば、次の仕事につながる。もしかしたらクチコミで誰かから電話がかかってくる。でも、編集者が変わったり、大不況の到来で仕事が内製化すると、途端に「不要な人」になる。編集側で発注していたこともあるし、その辺の事情はよく分かっているし、理解した上でフリーを貫いてきた。
でも、なんだかなぁ…と思ったのが一昨年の暮れ。仕事がなくても「ま、いいか」と思えたのは子供が小さかったからだと気付いた。子供の受験や海外旅行、大きな出費があるときに「私の原稿料で払うから」と言い切れない、誰かにお伺いを立てなければいけない状況に嫌気が差した(たとえそれが当然の権利であったとしても)。フリーなんて言っているけど、とてつもなく不自由だと思った。私が家にいた15年間、夫は働いていて、それなりの収入を得ている、その状況に「コンチクショー!」と歯噛みしたのである。

主婦業も大変ですよ、立派な仕事ですよと公言していた立場の私が実際にはそんな風に思った。つまりはお金なのか? 金だけか!?と自問自答もした。
結局は性格というか、私の生き方なのだろう。これからの10年、20年後を考えたときに「自由でありたい!!」と心底思ったのだ。子供を中心とした生活が終わったとき、たとえば「海外で仕事したい」と言って本当にやりとげるオバハンでありたい、夫から離れて暮らしたい思えば(例えばの話ですが)、即実行に移したい。夢を語るのは若者の専売特許ではない!!と燃えたぎるような思いを抱いたのである。
で、就活をしたわけですが……。ここからの七転八倒は長くなるので次回語りたいと思います。

ピックアップ記事

続けて読みたい